タレントの香取慎吾さん(撮影/小原雄輝)
タレントの香取慎吾さん(撮影/小原雄輝)

 誰も見たことのないユニークな展覧会場で、作品たちは会場に負けないほどの強烈なオーラを放っていた。香取慎吾のNIPPON初個展「BOUM! BOUM! BOUM!」。自身の個展について語った。

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 最近、新交通システム「ゆりかもめ」でミュージアムグッズの詰まった赤い文字の袋を抱えた人をよく見かける。書かれた文字は「BOUM! BOUM! BOUM!」。6月16日まで豊洲のIHIステージアラウンド東京で開催されている、香取慎吾さん(42)の個展帰りの人たちだ。

 読み方は「ブンブンブン」。フランス語で「ドキドキ」の意味を持つ。日本初開催となる自身の個展について、香取さんが語った。

「僕には個展をやりたいという夢がありました。それが叶ったのが、昨年9月。パリのルーブル美術館で初個展を開くことができた。初個展は一生に一度と思い込んでいたけど、そのうち、『あ、もしかして“日本初”個展ならできるかな?』って(笑)。すごく楽しみにしていたんですけど、こんなに早く開催できることになって。僕にとっては大きな夢が叶っている瞬間、といえる展覧会です」

 会場になったのは、客席全体がゆっくり回転し、舞台の間を移動するハイテク円形劇場。観客は客席でムービー作品を鑑賞したあと、三つの舞台の上を移動する。ルーブル美術館での個展「NAKAMA des ARTS」の凱旋作品を含む、100点超の作品が観客を迎える。

「美術展」らしからぬ、ユニークな仕掛けは、ほかにもまだまだある。

「もともと僕が想像していたやりたい個展というと、白い壁に絵がかかっているごく普通の個展でした。劇場でやるなんて、思ってもみなかった。それがあるとき、『この劇場でやらないか』というお話をいただいて」

 以前からライブの演出も手がけていた香取さんだけに、下見に来たときから、演出家目線の質問が次々に飛びだした。

「床からせり上がってくることはできますか?」「もしフライングで飛ぶなら、吊ることはできるんですか?」「はけ口は上手、下手?」などなど。

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