プロレス冬の時代を支えたテレ朝 海外ファン急増で奇跡のV字回復

小柳暁子AERA
 1954年に日本で最初のプロレス興行が開催されてから65年。独自の進化をとげた日本のプロレスが逆輸出され、本場で熱狂的な支持を集めた。

 グループウェア開発・販売会社のニューヨーク支社勤務の弘田洋介さん(41)は、学生時代からのプロレスファンだ。マディソン・スクエア・ガーデン(MSG)での新日本プロレス大会を観戦し、現地ファンが想像以上の「新日本プロレス通」で驚いたという。

【写真】マディソン・スクエア・ガーデンで行われた新日本プロレス大会

「SANADA選手は将来エースになると熱弁する人、『鈴木軍』Tシャツを着て鈴木みのる選手の関節技は芸術品だと言う人……選手の特性や歴史に精通していました」

 アメリカには世界最大のプロレス団体、WWEがある。動画配信サービスの会員数は約160万人を超え、年間最大のイベントである「レッスルマニア」には今年、全米50州と世界68カ国からプロレスファンが集まった。WWEのプロレスは連続ドラマのようなストーリーラインを重視したスポーツエンターテインメントに徹している。危険な行為は禁止されており、薬物検査も実施している。

 一方日本のプロレスは身体能力の高さを重視したスポーツライクなプロレスで、多彩で大がかりな技の応酬がスピーディーに展開され、WWEのプロレスだけでは飽きたらなくなったコアなファンを惹きつける要素がある。今回の観客もそうしたファン層が多かったという。長年アメリカのプロレスを取材し、今大会も現地で取材したプロレス評論家の斎藤文彦さん(57)はこう語る。

「アメリカには200近くのインディペンデント団体がありますが、WWEの事実上の独占市場。民主党と共和党の2大政党制のように、スポーツにもリーグが二つあった方がバランスがいいという考えがアメリカにはある。プロレスファンもWWE以外のプロレスを求めており、そこで新日本プロレスを発見したのではないでしょうか」

 スポーツライターで今回の試合の解説もつとめた金澤克彦さん(57)は、会場が静かになる瞬間があったことが印象的だったと言う。

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