サブスクで課金した曲は誰のものか? “電グル難民”問題で見えた「所有しないリスク」 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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サブスクで課金した曲は誰のものか? “電グル難民”問題で見えた「所有しないリスク」

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福井しほAERA
デジタルサービスは至極便利なものだが、音楽もダウンロードした本も、サービスが停止すればなくなってしまうこともある(撮影/写真部・高野楓菜)

デジタルサービスは至極便利なものだが、音楽もダウンロードした本も、サービスが停止すればなくなってしまうこともある(撮影/写真部・高野楓菜)

 電気グルーヴの楽曲配信停止で湧き起こる「CDはまだ必要」論。所有しないリスクは、「モノ」が消えるだけではない。

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 会見で強く訴えたのは、“受け手”の重要性だった。

「作品を聞く自由をリスナーから奪っている。制作された作品は作り手だけではなく、受け手の財産でもあるはず」

 ミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名・瀧正則)被告(52)が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されてからおよそ1カ月が経った4月15日、瀧被告が所属する「電気グルーヴ」のファンらが、CDや映像商品の出荷停止やデジタル配信停止の撤回を求める要望書を、作品を管理するソニー・ミュージックレーベルズに提出。発起人となった社会学者の永田夏来さんらが会見を開き、冒頭のように主張した。

 出荷が停止されたのは瀧被告の逮捕翌日で、デジタル配信も一斉にストップした。サブスクリプション(定額制)の音楽配信サービスの利用者は、一夜にして“電グル難民”と化した。

 サブスクで正当な対価を支払った人も、いわば“受け手”だ。先の会見でもサブスクのユーザーが不便にさらされていることを伝えていた。今回のような対応はリスナーから音楽を奪い去っているといえるのだろうか。

 著作権問題に詳しい村瀬拓男弁護士は、こう説明する。

「音楽配信は購入してダウンロードする場合と、その都度データを読み出して聴くストリーミング配信があり、サブスクでは後者が一般的。ストリーミング配信は『今の状態をリクエストする権利』があるだけで、モノを『所有』していないのです。なので、レコード会社や配信元がストップをかければ聴けなくなります。音楽だけでなく、漫画や文学にも言えることです」

 つまり、いくらサブスクで課金をしていても現行の契約上は「所有している」とは言えない、と村瀬弁護士は指摘する。

 デジタルによる新しい配信サービスの登場で、場所や時間を問うことなく、好きな時に自由に楽しめるようになった。これは音楽だけではなく、本や雑誌もしかり。全国出版協会によると、2018年の電子出版市場は2479億円で、前年比11.9%増。電子書店も競争が激化し、浮かぶサービスがあれば、沈むサービスもある。


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