ヒップホップ・アクティビストのZeebraさんが「AERA」で連載する「多彩な野菜」をお届けします。1997年のソロデビューからトップとしてシーンを牽引し続け、ジャンルや世代を超えて多くの支持を得ているZeebraさん。旬の野菜を切り口に、友人や家族との交流、音楽作りなど様々なエピソードを語ります。
* * *
ホワイトとグリーンは育て方の違いだそうですが、料理屋さんで「今日、いいの入ってますよ」って言われるのは必ずホワイトアスパラ。付加価値が高い扱いです。トロッとやわらかくて。チーズと一緒に焼いたグリエールなんて、大好物です。でもあれ、日が当たらないようにずっと土なんかをかぶせられて育つんですよね。抑圧されてかわいそうと感じるのは僕だけでしょうか。
連想するのは、かつてマルコムXが話していたことです。アメリカで黒人が奴隷として使役されていたころ、お屋敷の中の仕事をする奴隷は主人と生活を共にし、命令には絶対服従。結果、主人が病気になったら「私も病気ですか?」と聞いちゃうぐらいだったそうです。一方、畑で綿花栽培などをする奴隷は、主人の愚痴をぶつくさ言いながらやっていて、そんな中から黒人独自のカルチャーが発展していったと言われています。人の言うことを聞くだけが全てじゃないってことですね。もちろん、お屋敷でも畑でも、奴隷制度そのものが許されないのは言うまでもありません。
※AERA 2019年5月13日号