5年ぶりに出場した昨年12月の全日本選手権で2位という好成績を収めたが、世界選手権代表は辞退した(写真:gettyimages)
5年ぶりに出場した昨年12月の全日本選手権で2位という好成績を収めたが、世界選手権代表は辞退した(写真:gettyimages)

 4年ぶり32歳での現役復帰からの全日本選手権で、2位という好成績を収めたフィギュアスケート選手の高橋大輔。現役復帰後も「パフォーマーとして生きていきたい」という高橋大輔が、引退後の選手の活躍の場について、自身の夢を語る。

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──体が動くうちは表現する側にいらっしゃるということだと思います。その先に、コーチや振付師といった仕事を意識していますか。

高橋大輔(以下高橋):振付師が向いていないとわかっているんです。ゼロから生み出せるタイプではなく、素材があってそれをアレンジするほうが好きなので、どちらかというとコーチのほうが向いているとは思います。でも現役復帰して、結果的にコーチになるには出遅れてしまったと思うので、そこは違うものでカバーするしかないな、と思っています。

──その違うものというのが、以前から話していたスケートの舞台の創出でしょうか。

高橋:プロフィギュア界をどう変えていくかは、僕にとって大きなテーマです。プロのスケーターが引退後に就職する場所、ちゃんと職業として食べていける場所が、いまは残念ながらほとんどない。日本のスケーターの引退後の選択肢が変わるような、劇団四季のようなスケート舞台のカンパニーをつくれたらいいなと思っています。

──劇団四季のスケート版ですか。すてきですね。

高橋:劇団四季は、特定の出演者のファンだけでなく、「劇団四季だから見に行く」という人も多く、どの舞台も人気です。バレエの川哲也さんのKバレエカンパニーも同様に、Kバレエカンパニーだから見に行くファンがたくさんいます。

高橋:スケートでも、様々なアイスショーが多く開催されるようになりましたが、僕はそれよりも舞台色の強いもの、たとえば「ロミオとジュリエット」をスケートミュージカル化するように、ひとつのストーリーを皆で演じるものをつくってみたい。わかりやすく言えば、Dカンパニー(大輔カンパニー)をつくりたい(笑)。

──2年前の氷艶「破沙羅」では、アイスショーが歌舞伎とコラボレーションしていました。

高橋:歌舞伎の皆さんからアイデアがたくさん出てきて、想像しなかった演出を経験しました。スケーターではない人が、リンクに登場しても舞台が成り立つというのも大きな経験でした。「和」の演出もすばらしかった。歌舞伎がラスベガス公演をしているみたいに、将来的には日本の「和」のスケート舞台を海外に持っていけたら素晴らしいなとか、夢も広がりました。

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