角田:なるほど。以前、SNSでの友人のキラキラした日常を見るのが嫌なのにやめられない、というお悩み相談を見ました。いいところしか写してないに決まっているじゃない、と思うんだけど、そういうキラキラした生活を信じてしまう人がいて。それは苦しいだろうなと思います。その写っていないところで私たちの生活は成り立っているわけだから。

柴咲:そうですよ。写ってないところはぐちゃぐちゃかもしれない(笑)。だから、想像力を働かせるというのは大事だと思うんですよね。私は実際には子どもがいないので、お母さん役を演じると「子どもいないじゃん」と言われたりするんですけど、想像力を働かせたら、誰だって違う立場の人のこともわかるんじゃないかと思うんですよね。子どもがいないから「違う」と閉ざさないでほしいし、結婚して子どもがいるから「いいわね」ですまさないでほしい。お互いの生き方を認めれば、もっと生きやすいだろうなと、今回里沙子を演じて感じました。

角田:柴咲さんがこの弱っとした里沙子をどう演じたのか、すごく興味があります。

柴咲:全6話なんですが、1話と6話では里沙子の雰囲気が変わって見えると思います。里沙子の変化を私自身も楽しみたいし、見てる人にも楽しんでもらいたい。

角田:それはすごく清々しいと思います。内面の変化を文章ではっきり書くと嘘っぽくなるので書けないのですが、それを映像で見るとどうなるのかぜひ見たいです。

柴咲:「常識」と「先入観」をキーワードに見てもらえたらな、と思います。私自身、常識や先入観にしばられないようにしていたのに、ついとらわれていることに、改めてこの作品で気づかされました。テーマは重いですが、見終わった後は気持ちがちょっと軽くなると思います。

(編集部・大川恵実)

##(場面写真と番組情報入れてください)
ドラマ「連続ドラマW 坂の途中の家」はWOWOWで放送。4月27日(土)夜10時スタート。全6話で第1話は無料放送/©2018 WOWOW

AERA 2019年4月29日-2019年5月6日合併号