紀平梨花はフリーの演技ではミスが続いたが、「来季は万全な状態で挑むことが課題。一番大きな試合で一番いい演技をしたい」と先を見据えた (c)朝日新聞社
紀平梨花はフリーの演技ではミスが続いたが、「来季は万全な状態で挑むことが課題。一番大きな試合で一番いい演技をしたい」と先を見据えた (c)朝日新聞社
国別対抗戦を戦った日本の選手たち。エキシビションでは「世界に一つだけの花」など平成のヒット曲に合わせて踊った (c)朝日新聞社
国別対抗戦を戦った日本の選手たち。エキシビションでは「世界に一つだけの花」など平成のヒット曲に合わせて踊った (c)朝日新聞社

 2018-2019シーズンを締めくくるフィギュア国別対抗戦が4月14日に閉幕した。男子の4回転が注目される中、エリザベート・トゥルシンバエワ選手(カザフスタン)は世界選手権でシニア女子初の4回転を成功させた。トリプルアクセルを武器にする紀平梨花選手が、今季の反省と3年後の北京五輪についての想いを語る。

【写真】国別対抗戦を戦った日本の選手たち

*  *  *

 女子にとっても、決意を新たにする試合だった。紀平は、世界選手権後に新たな種類のスケート靴に替えて、調子を確認する試合。ショートは、足首の補強テープを強く巻き直すことでトリプルアクセルを成功し、83.97点で世界最高点を叩き出した。今季不調だったショートを克服したかに思われた。しかしフリーは調子が上がらず、

「力を振り絞りましたが万全の状態には合わせてこられず、足に力が入りませんでした」

 と語り、冒頭のトリプルアクセルで転倒。さらに連続ジャンプでも転倒するなど、138.37点に留まった。

 シニアデビューとなった今季は、トリプルアクセルを武器に能力の高さを示した一方で、試合前に靴の調整で慌てるなど、準備に課題を感じた。

「来季は万全な準備で挑みたい。もっともっと強くならないと」

 来季には、4回転を跳べるロシアのジュニア2人がシニアデビュー。また世界選手権では、カザフスタンのエリザベート・トゥルシンバエワ(19)がシニア女子初となる4回転を成功させ、国別対抗戦ではエリザベータ・トゥクタミシェワ(22)が計2本のトリプルアクセルを成功させており、女子にも真の高難度ジャンプ時代が到来する。

 紀平も、同じくジャンプの申し子。すでに練習では4回転トウループと4回転サルコウを降りたことがあり、来季は試合で入れる意気込みだ。

「片足で降りられるようになってきていたので、完成度を高めたいです。4回転を入れて、トリプルアクセルが崩れることがないよう、感覚をつかむことも大切です」

 5月には米国で、4回転ジャンプに集中した合宿を行う。またジュニア勢と差をつけるために、表現面も強化。ショートは、羽生の「SEIMEI」を振り付けたシェイ=リーン・ボーンに依頼する。フリーは、

「今までとは違ったところを見せたい。初めは難しいような曲や、苦手な曲をわざと選びたい」

次のページ