授業では、まずはじめに子どもたちが石について知っていることや思いつくことを確認する(写真/筆者提供)
授業では、まずはじめに子どもたちが石について知っていることや思いつくことを確認する(写真/筆者提供)
ゴーグルと軍手を着用し、ハンマーで石を割る姿はまるで小さな研究者のよう(写真/筆者提供)
ゴーグルと軍手を着用し、ハンマーで石を割る姿はまるで小さな研究者のよう(写真/筆者提供)

 はじめまして、探究堂の代表を務める山田洋文と申します。この度、AERA dot.で連載を担当させていただくことになりました。

 まずは簡単に自己紹介させてください。探究堂は京都市上京区に拠点を構える探究塾です。2016年4月に開校しました。幼児から小学生を対象に活動しており、現在十数名の子どもたちが通ってくれています。

 もしかすると多くの読者の方にとって、「探究塾」という言葉はあまり馴染みがないかもしれません。いわゆる一般的な学習塾は、生徒の学力向上や志望校合格を目指して授業を行います。

 一方で探究塾は、生徒の知的好奇心や探究心を育むことにフォーカスしている点が大きな違いと言えるでしょう。

 探究堂のコンセプトは「オモシロガリヤを育てる寺子屋」です。「○○力」や「○○スキル」といった最近流行りのキーワードでなく、なぜ「オモシロガリヤ」なのか。

 それは、知的好奇心や探究心を発揮して主体的に学ぶ姿勢が備わっていれば、子どもたちは自分の人生をたくましくしなやかに切り拓いていくはずだ、という信念があるからです。

 普段どのような授業をおこなっているか、具体的な事例をご紹介しましょう。

 小学校低学年クラスが取り組む『石ころ物語』は、川の石の秘密に迫る探究プロジェクトです。

 身近にありながらも普段はあまり意識することのない「石ころ」。授業では、まずはじめに子どもたちが石について知っていることや思いつくことを確認するところからスタートします。

 現地(桂川)でのフィールドワークはこのプロジェクトの前半の山場かもしれません。川の流れの様子を観察し、石の大きさ調査を実施するのが我々のミッションです。

「なんで上流と中流で石の大きさや形が違うんだろう?」

 2カ所での現地調査の結果を比較するうちに、子どもたちの中に湧いてきた素朴な疑問。彼らの「もっと知りたい」という気持ちに火がついた瞬間です。

 教室に戻って、河原で採集した石を観察し、その特徴を記録する作業も欠かすことができません。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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