ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
写真:gettyimages
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 国内のいろいろな景気見通しを見ていると、年後半に向けて楽観論が多く、その大きな理由に中国との貿易回復が挙げられている様子です。いつも申し上げていますように、輸出依存度が15%もないのに、なぜそれが景気を牽引するのか。まるで?なんですが、年配のエコノミストなどが好んで用いる論法です。

 ご存じの様にぐっちーは完全にアメリカに軸足を置いて経営をしており、日本は欧州などと同じ取引先の一部に過ぎません。この連載のような「発信もの」はグッチーポストという日本の会社から行いますが、全収益の98%はアメリカで生まれます。

 そういう視点から物事を見ていると、この「中国が良くなるから日本経済も……」という論法は極めて危うく思えます。ここ数カ月、アメリカや欧州の中国に接する態度は、ものすごく厳しいものがあるとひしひしと感じます。もし、私の会社が提携先に中国の会社を持っていたりすると、それだけで警戒されて、ビジネスに消極的になる欧米企業が今では多数あるのです。

 この5年ほど、欧米人には「まあ、中国も経済発展してくれば日本と同じで欧米の価値観で判断するようになるだろう」という勝手な思い込みがありました。日本人が70年代、エコノミックアニマルと言われ、エルメスの店内をステテコで歩いていた時代からずいぶん洗練されてきたのと同じでしょ、と。そのたびに我々日本人は「日本人と中国人は根本的に違うよ!」と警鐘を鳴らしてきたはずです。そして最近、欧米もやっと「これは放っておいても日本みたいな同質の価値観を持つ国にはなりそうもない……」と悟ってきた。いわゆる中国異質論ですね。

 例えば在日アメリカ大使館の広報ページにはこんな記事が載っています。

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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