【タカラレーベン】代表取締役社長 島田和一さん(53)/1987年入社後、開発部長、副社長などを経て、2014年から現職。主軸である不動産事業の他にも太陽光マンションの業界ナンバーワンなど独自戦略に定評がある(撮影/写真部・小黒冴夏)
【タカラレーベン】代表取締役社長 島田和一さん(53)/1987年入社後、開発部長、副社長などを経て、2014年から現職。主軸である不動産事業の他にも太陽光マンションの業界ナンバーワンなど独自戦略に定評がある(撮影/写真部・小黒冴夏)
【CASE1】同じ駅、同じ築年数、似た広さで駅からの徒歩距離が違うマンション(AERA 2019年4月22日号より)
【CASE1】同じ駅、同じ築年数、似た広さで駅からの徒歩距離が違うマンション(AERA 2019年4月22日号より)
【CASE2】バブル期に建てられたマンションは駅の違いで優劣が強烈!(AERA 2019年4月22日号より)
【CASE2】バブル期に建てられたマンションは駅の違いで優劣が強烈!(AERA 2019年4月22日号より)

 住宅を新たに買う、住み替える。これらは人生の一大イベントだ。将来大幅に下落する“負”動産ではなく、利益が出る“富”動産をつかむには──。

【表を見る】「負動産」と「富動産」を見比べてみよう!

*  *  *

 負動産と富動産をどう見分ければいいのか。住宅過剰社会の現状や空き家問題を実地調査してきた、東洋大学教授の野澤千絵さんによると「世代ミックス」「建物用途の混在」「街の新陳代謝力」がキーワードだという。

「古くなった部屋はリフォームできますが、街は自力ではリフォームできません。マンションの管理も自分ひとりだけではどうにもならない。『安いから』『車もあるし』と、現在ですら便利とは言い難いような立地の物件を買ってしまうと、将来、売るに売れずに苦労することになります。若い人ばかり、高齢者ばかりといった世帯構成の偏りにも注意が必要です」(野澤さん)

 マンションばかりが立ち並び、建物の用途が偏在しているエリアにも注意が必要だ。

「湾岸地区などを歩くと、意外にまだ空き地が多いことに気づきます。そこに新たなマンションが建てられ、エリア内の住宅総数が積み上がっていけば、将来的に、中古住宅の売値にも影響してくるでしょう。最近はなにかと『住みたい街ランキング』に注目が集まりますが、こういったランキングの上位の街には結局、同じような年齢・世帯構成の人が集まりがちなのが気になります」(同)

 何年も続けてランクインすると買値が上がり、物件価格は割高になる。欲しくても予算に合わないと、『少し駅から遠くてもいいか』と妥協して買う人が増える。だが、同じ場所に似た世帯が集まると、将来は街全体が高齢化する。その結果、同じ街でも条件の悪い物件を買った人の手元には“貸すに貸せず、売るに売れず”の負動産だけが残るという構図である。

 理想は若い人や高齢者がともに住み、新築マンションだけでなく昔ながらの商店街や既存の戸建て住宅が共存している駅。商業施設、学校や塾、病院、幼稚園、公園などが細かく混在しているエリアはさらにいい。

著者プロフィールを見る
中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

中島晶子の記事一覧はこちら
次のページ