日清の「All-in PASTA」のボロネーゼソース。どこか懐かしい味わいだ(撮影/写真部・東川哲也)
日清の「All-in PASTA」のボロネーゼソース。どこか懐かしい味わいだ(撮影/写真部・東川哲也)
試食した5種類の完全食(AERA 2019年4月22日号より)
試食した5種類の完全食(AERA 2019年4月22日号より)

 1食で1日に必要な栄養素の3分の1がとれてしまう「完全食」。日清の参入で市場が活気づいている。でも、そんなウマい話があるのか。気になる味も検証した。

【試食した5種類の完全食の評価はこちら】

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 日清食品が3月27日、「完全栄養食」とうたう「All-in PASTA(オールイン パスタ)」を発売した。販売数は非公表だが、自社ECサイトと通販サイト「LOHACО(ロハコ)」では、2カ月分を想定したストックが約5時間で完売したといい、予約販売のみを受け付けている状態となった。

 何が「完全」かというと、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」をもとに、1日に必要なビタミン・ミネラルの3分の1量が1食の麺に練り込まれているという。どんな味なのか? 現物を入手し、試食した。

 作り方はカップ焼きそばと変わらない。熱湯を注いで6分待って湯切りをする。麺の形は、ノンフライのインスタント麺に近い。練り込まれた栄養素のためだろうか、かすかにおぼろ昆布のような香りがした。

 まずは麺だけ食べてみる。ややモソモソした食感で、海藻のような味もする。ビタミンやミネラルには苦みやえぐみなどがあるため、同社は栄養素をパスタの中心に封じ込め、そのまわりを小麦ベースで包み込んだというが、独特の味はする。

 ソースはボロネーゼ、ジェノベーゼ、アラビアータの3種で、普通のパスタソースと変わらない。独特の麺ともっともマッチしたのは、ジェノベーゼソースだった。プリプリのアルデンテや、モチモチの生パスタとも違うこの食感、よくお弁当の横に入ってるスパゲティに近い気がする。嫌いじゃない。外食や自炊で完全な栄養をとるのは大変だ。完全食を取り入れれば、食事の手間も時間も減る。

 実は、日本で「完全食パスタ」を発売したのは、日清が初めてではない。2017年2月、ベンチャー企業のベースフードは“世界初の完全栄養の主食”とうたう「BASE PASTA(ベース パスタ)」を発売している。代表の橋本舜さん(30)は、健康に関心がない人にも栄養をとってほしいと主食を完全栄養化することを思いつき、開発に着手、16年にベースフードを立ち上げた。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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