さらにこう言う。

「(県と国は)協力していかなければいけない関係です。政策の違いに対しては厳しい言葉も伝えなければいけませんが、特定個人の人格攻撃と混同してはいけないと思っています」

 エネルギーの源泉は県民の「民意」だと強調する。

「巨大な政府権力と向き合えるのは、草の根の民意にしっかり後押しいただいているから。県民投票で辺野古埋め立てに反対の票を投じた方は、私の知事選の得票を上回りました。翁長前知事や私の主張に信任をいただいているので、臆することなく、言うべきことを堂々と訴えていくことができます」

 主要な政党・団体などの「支持母体」を持たないのが、玉城知事の強みでもあり弱みでもある。党派やイデオロギーに縛られず大胆な決断もできるが、オープンで丁寧な説明責任を怠れば、県政運営の基盤が崩れかねない危うさも抱える。

「胆力と根気の勝負。沖縄の民意を尊重する政権が生まれれば、沖縄の政治の形も大きく変わると思います」

 沖縄から日本の流れを変える。そんな気概がにじむ。(編集部・渡辺豪)

AERA 2019年4月15日号

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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