いろいろと教訓を得た。最も大きな教訓は、いくら撮り手がすごくとも被写体は自分ということである。可愛く撮って欲しけりゃ自分が可愛くならねばならぬという身も蓋もない事実。

 というわけで、メイクのプロにもおすがりする。

 貴重な体験であった。いろいろと教訓を得た。最も大きな教訓は、可愛くメイクしてもらおうと思えば自分が可愛くなければならぬということである。

 身も蓋もないかというと、そうでもない。

 可愛さとは何かということを教えていただいた。メイクの威力とはすごいもので、完璧なメイクをすれば誰でもすごい美人になれるそうだ。でも全部同じ顔になるらしい。そんなの意味ないよネと言われてウンウンとうなずく。

 で、メイクさんが何をしたかというと、私の妙なところを際立たせていた。アフロを広げ、ツケマで細い目をより細くしていた。なかなか可愛かった。フムと思った。

AERA 2019年4月8日号

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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