※写真はイメージです(撮影/写真部・東川哲也)
※写真はイメージです(撮影/写真部・東川哲也)

 共働きやひとり親世帯が増える中、体制の変わらないPTAが問題視されている。「やってもよかったことなんて何もなかった」と吐露する保護者もいる一方、筆者は実体験を通し、「保護者のネットワークは貴重」だと感じたという。PTAは今後、変革しうるのだろうか?

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 筆者が実体験や取材を通して感じたPTAの最大のメリットは、近所に知り合いが増えることだ。知り合いが増えれば入ってくる情報も自然と増える。同じエリアで暮らし、同年代の子を育てる保護者がもつ情報は貴重だ。どの医者が子どもを上手に診てくれるか、新しくできた塾に通わせたら実際どうだったか、子どもがなくした学校配布物の提出期限など、ネットでは得られない情報も得やすい。

 さらに学校に足を運ぶ機会が増えたことで、先生や子どもたちが今、学校でどんな状況に置かれているかをうかがい知ることもできた。取材した中には、PTA活動に積極的にかかわることで、先生や他の保護者に対しわが子の発達障害について理解を促すことができたという人もいた。

 ただし、メリットを感じるにはある程度どっぷりPTA活動をする必要もある。そのため忙しい人の場合は、メリットを感じられるほどにかかわることはできないまま、負担ばかりを強く感じてしまうという傾向があるようだ。筆者自身も初めて委員をやった年はさほど知り合いも増えず、メリットは感じなかったが、長く、深くかかわるほど得るものも増えた。

 もし負担ばかり感じるなら、仕事で培ってきた調整力を発揮して、PTAを変革することもできなくはない。時間のない保護者にとってもメリットを感じられる組織に、自分で変えられる可能性はあるのだ。

 昨今はPTAが任意加入であることが知られ、非加入や退会を検討する保護者も増えている。だが、入らないと子どもが嫌な思いをするのではと不安を感じている人も多い。

「PTAをやめたら卒業の記念に配る饅頭をあげないと言われた」「暑い時期なのに、運動会のテントはPTAが購入したものだから非会員の子どもは入れないと言われた」「退会したら、PTA主催のつき大会に参加してはいけないと言われた」など、耳を疑うようなケースは実際にある。

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