「骨と骨をつなげるジョイント部分が関節ですが、良好なアライメントは関節一つひとつの中心に体重がのっている状態をいいます。この状態でいると、背骨に対していろいろな関節や筋肉が各方面から均等に背骨を引っ張り、歪みなく支えることができます」(中村医師)

 ところが、座り方が悪いと関節のバランスが崩れるので、周囲の筋肉や靱帯がちょうどいい張力を発揮できなくなる。すると、不安定になった関節や筋肉に負担がかかってしまう。引っ張られないようほかの関節や筋肉は頑張り続けなければならなくなる。

「悪い座り方が癖になると、無理な力がかかった状態がつづき、その部分に負担がかかって疲労物質がたまり血行も悪くなり、肩や首の痛みやコリを生じてしまいます」(同)

 椅子の上に正座して仕事をしているという人もいた。ある会社員の女性(48)は、椅子に尾てい骨を整える座布団を敷いたり、机と足の高さが合っていないのかと思い足元にお菓子の缶を置きその上に足をのせていたりしたが、効果が出ない。そこで、椅子の上に正座して仕事をしているのだという。

「これが一番気持ちいいので。といって、これもよいのかどうかわかりません。右側の腰の筋肉が張って、股関節からガチガチに痛い時があります。痛い時は、階段の上り下りがしんどいです」(女性)

(編集部・野村昌二)

AERA 2019年4月8日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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