グエン・ホン・フォンさん(18・男性)も被害に遭った一人だ。複数の日本語学校の面接に合格するなか、杉並外国語学院に決めた理由は「ホームページを見た印象」だったと話す。

 なぜ、在留資格証明書の申請ができる告示校でもなく、学生の受け入れ実績のない「ニセ学校」を事前に見抜けないのか。背景に公的な情報不足がある。

 全国日本語学校連合会は2016年以降、法務省から告示を受けたすべての学校情報をまとめた「日本語教育機関全覧」を発行し、留学生の多い国の大使館や入国管理局にも配布してきた。荒木幹光理事長は話す。

「告示校は官報に掲載されていますが、掲載される情報は名称と所在地だけで、日本人が見てもどんな学校かわかりません」

 新しい日本語学校も急増するなか、「本人または紹介業者は、まず各国の日本大使館に問い合わせをするべきです」と指摘する。

 記者は冒頭のヌウンさんからこんなメッセージを受け取った。

「許可のない学校に入ろうとしたことが今後の在留審査にマイナスの影響を与えないよう、入国管理の人へ伝えたい。騙された66人がまた日本に行くチャンスを与えてほしい」

 被害者らは日本人弁護士をたて、対応を協議していくという。(編集部・澤田晃宏)

AERA 2019年4月8日号