「住居用不動産をリノベーションして収益化できるノウハウを数値化して蓄積してきたので、それを空き家に活用できることが弊社の強みです」

 扱う空き家は東京近郊の1都3県が中心。蓄積したデータをもとに入居者が確保できるかを推定し、最寄り駅の乗降者数や人口密度、車の利用率などを掛け合わせて投資が成り立つ利回りを算出する。空き家1軒あたりの募集額は600万~700万円ほどで、想定利回りの平均は12・9%。物件を見ずに投資する投資家がほとんどだという。

「過去の実績を信用して投資してくれる。今は競合がいないので、物件も集めやすい。もっとデータが蓄積されてくれば、空き家再生ファンドのリーディングカンパニーになれると考えています」(國師さん)

 住居としては売れなかった物件が投資対象になることもある。

 千葉県の男性(69)は亡父から実家を相続した。JR総武線四街道駅から徒歩7分、約80坪の土地に立つ邸宅は築古ながら状態はいい。すぐに買い手がつくと思っていたが、崖を切り開いた高台に立つことがネックとなり、大手の不動産仲介会社から契約に難色を示された。

「リフォームすると土台の一部である壁面のコンクリも直すので、お金がかかる。高台から見える景観がよかった点も気にいっていたが、その立地がマイナスになってしまった」(男性)

 だがそのままにしておくわけにもいかず、泣きつくような思いで地元の仲介会社に頼み込んだところファンタスとつながり、売却できた。売却額は希望の「3分の1くらい」だったが、男性は実家が利活用してもらえることに喜びを感じている。

「駅に近く土地も広いので、必要としてくれる人はいるはず。どんな物件として生まれ変わるのか楽しみにしています」

(編集部・作田裕史)

AERA 2019年4月1号より抜粋