Saori:私は小中学生のとき、つまずきました。もしこれを読んでいる誰かが、自分のいる世界がすごく苦しいとか逃げ出したいとか思っているなら、今あなたがいるところが世界のすべてではないし、どこにだって行けるよと言ってあげたい。学校に行っていて知り合いが少ないときは、そこから思うように抜け出せない時間も続くと思うけど、そこは絶対に全世界じゃない、どこにだって行けるよ、と。

Fukase:勇気を出して、嫌なら逃げろって言いたい。逃げることはとても勇気がいることだし、すごくかっこ悪いと思うかもしれない。でも僕の場合、自分が先に進むためにその場から離れる必要があったこともたくさんありました。逃げるということは、必ずしもネガティブではないと思うんです。逃げて逃げて逃げまくった先がこのSEKAI NO OWARIなので。大人になっても仕事ができているし、充実しているし、毎日楽しい。逃げた先がここだっていうのは、いいかなって。

――ファンの読者の子から「初めの一歩を踏み出せないときに、どうすれば自分を変えられますか」という質問がきています。

Fukase:僕はラブソングを書くのが苦手なんですが、今回のアルバム「Eye」の1曲目の「LOVE SONG」という曲は、いろいろ考えずに、まず1行目を実際に携帯で書いてみたんです。書こう書こうと思っているとなかなか書けない。でも何か始めたい、と思ったら、例えば英会話教室のちらしを駅前にもらいに行くとかでもいいので、具体的な一歩を踏み出してみるのがいいきっかけになる。今できることを、すぐする。長いスパンで考えるから、できなくなるんですよね。

Nakajin:後先考えすぎちゃうと、動けなくなっちゃうよね。

Fukase:勉強したいと思って参考書を買いに行ったり、それにマーカーを引いたりしただけで満足しちゃうのはダメだけど。

Nakajin:でも買わないよりは、買った人のほうが一歩前に進んでいるよね。

DJ LOVE:「買ったわ~」で満足じゃなくて、「買って解いてみる」がセットだけどね、本当は。

Fukase:でもそういうのは結構大事だと思います。とりあえず何か具体的な行動を起こしてみようよ。

【SEKAI NO OWARI】
2007年に幼なじみの4人で結成したバンド。10年4月にファーストアルバム「EARTH」をリリース後、11年8月にメジャーデビュー。「RPG」「プレゼント」「サザンカ」などヒット曲を多数リリースしている。

(音楽ジャーナリスト・柴那典)

※月刊ジュニアエラ 2019年4月号より

ジュニアエラ 2019年 04 月号 [雑誌]

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柴那典
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