イラスト:土井ラブ平
イラスト:土井ラブ平
「朝だけ断食」の流れ(AERA 2019年4月1日号より)
「朝だけ断食」の流れ(AERA 2019年4月1日号より)

 毎日16時間以上の空腹状態を作る「朝だけ断食」。それだけで41歳のアエラ男性記者は、5キロの減量に成功した。しかも、頭はボーっとすることはなく、すっきりした気持ちで仕事にも集中できたという。これほど、朝だけ断食の良い面ばかりだと、「いやいや、ちょっと待て」と思う向きもあるだろう。

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「朝食をとらないと脳のエネルギーであるブドウ糖が行き渡らずに頭が働かない」

まずはよく目にするそんな批判。記者個人としては、頭が働かないという実感はない。『朝だけ断食で、9割の不調が消える!』の著者で、鶴見クリニック理事長の鶴見隆史氏もこう反論する。

「脳はブドウ糖だけをエネルギーにしているわけではない。カナダの学者の実験では『ブドウ糖は30%しか使われていない』という結果も出ています。人間には『糖新生』という仕組みがあり、体内のアミノ酸や乳酸、中性脂肪などからブドウ糖を作ることができる。また、ブドウ糖が不足すれば、脂肪を燃焼させて作られるケトン体も脳のエネルギー源になることがわかっています。朝食でブドウ糖を無理にとる必要はないのです」

 もう一つ、「1日2食の方が太る」という説も根強い。一般的に、力士が朝昼兼用と夕食の1日2食で体を作っている習慣があることも影響しているのだろう。ただ、2食でカロリーを過剰摂取すれば、太るのは当然。大切なのは、断食後の食事となる昼食だ。

「昼食は、穀類、生野菜、フルーツを中心にして腹八分目とするのが理想です。白米や麺を中心とした食事であれば、腹八分目でも食べすぎで、30~40代は腹七分目、50~60代なら腹六分が適量です」(鶴見氏)

 故・甲田光雄氏も著書『奇跡が起こる半日断食』で「昼食の食べすぎ」には注意を促しており、どうしても食欲を我慢できなければ、昼食前にみかん1個かリンゴ半分を食べることも良しとしている。

 これは個人的な体感だが、朝だけ断食を続けているうちに、昼食を「ドカ食い」しようとは自然と思わなくなった。胃の容量が適正化されていることに加え、食べ過ぎると食後に猛烈な睡魔が襲ってくるため、食べる量をセーブしようという自制心が働くからだ。甲田氏の著書にも同様の記述があり、「昼食後に眠くなるようなら食べすぎ」とある。昼食後の眠気の有無を、食べ過ぎていないかをチェックするバロメーターとするといいかもしれない。

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