「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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最近、コンビニの24時間営業や加盟店と本部の関係について、色々な意見がメディアやネット上で交わされています。私も今、全国を回りオーナーのみなさんに自分の考えをお話ししているところです。
コンビニはもともと24時間営業ではありませんでした。ローソンは80年代前半にお客様の生活様式、マチ、社会の変化に合わせるように24時間営業に舵を切り、その後、トイレの開放、公共料金の支払いなどサービスを拡充し、変化に対応してきました。仮に24時間営業が必要とされない世の中になれば、もちろん時短営業の実施にしっかり向き合います。ただ、現時点で全店一斉に24時間営業をやめる段階ではないと考えています。そのため、デジタル化を駆使して店舗のオペレーションの軽減に取り組んでいます。
とはいえ、今は人手不足まっただ中。オーナーのみなさんの事情もさまざまで、本部はそれにきちんと向き合うことが大切です。やむを得ない場合は、時短での営業も可能としており、今は約40店舗が時短で運営されています。深夜に人が少ないエリアでは今後、物流面を整えた上で、24時間営業を見直すことも必要になってくると思っています。
また、ローソンは加盟店と本部、さらに加盟店同士の横のつながりを非常に大事にしています。各地区で「エリア会」を作って課題を話し合ったり、ベストな解決策を相談したり。「理事会」や「オーナー女子部」「マネジメントオーナー総会」など、私や本部役員が出席して加盟店のみなさんと意見交換する場も多くあります。加盟店と本部、加盟店同士も現場の問題を共有し、対処できる仕組みです。
ベテランのオーナーの方が新人のメンターとして経営に関して助言できる仕組みもあります。タテ、ヨコ、ナナメと密に連携し、オーナーのみなさん一人一人が孤立せず、本部と一体となった形を目指しています。互いに「ありがとう」と言える関係。それが、ローソンが目指すフランチャイズビジネスです。
※AERA 2019年4月1日号