こうした経験を持ってインスタグラムの最高責任者となったモッセーリ氏にとって、就任直後の11月に実施された米中間選挙でのフェイクニュースや情報操作、選挙妨害の対応が最初の大きな仕事の一つとなった。対応の具体策については「詳しく話せない」というが、FBとも情報交換しながら不審な情報の動きを日々監視し、必要があれば削除して拡散を防ぐ。情報を公開して注意も喚起した。

「常に社内外で協力している。数万人規模が関与し、数十億ドル規模の予算を対策に投資している。米中間選挙ではより迅速な対応ができた。問題を完全になくすことは不可能だが、対応能力は確実に向上している」

 インスタグラムは世界中で月10億人が日常的に活用している。そのため、FBとともにユーザーのいる各国の主要選挙日程をあらかじめ把握し、妨害行為に悪用されないよう事前に対応を始めるという。米国だけではない。世界規模の対応だ。

 日本はインスタグラムの普及が最も著しい国の一つだという。「ユニークな国」と印象を話すモッセーリ氏の今回の来日は、20年の五輪・パラリンピックをインスタグラムのさらなる拡大の好機ととらえてのものだ。3月14、15両日に東京ミッドタウンで開催した「インスタスポーツパーク」などの企画を通じ、スポーツ選手ともコラボして活動を活発化させる。決意をモッセーリ氏が最後に語った。

「日本でのインスタグラムの成長が著しいことを光栄に思うし、とても興奮している。日本の人たちの興味に見合う新たな価値を創造したい。同時に日本の素晴らしさを世界中の人たちに知ってもらうことにも寄与したい。私自身も日本で時間を過ごせることを楽しみにしている」

(編集部・山本大輔)

※AERA 2019年3月25日号