東京・神楽坂の真清浄寺の境内にある共同墓、六角堂ひかり(撮影/写真部・大野洋介)
東京・神楽坂の真清浄寺の境内にある共同墓、六角堂ひかり(撮影/写真部・大野洋介)
図版=AERA 2019年3月25日号より
図版=AERA 2019年3月25日号より

 樹木葬など以外でも「共同墓」への関心は高まっている。共同墓とは複数の他者と合同で納骨するもので、管理者や後継者が不要で、価格も一般墓に比べ格段に抑えられるなどのメリットがある。合葬墓、合同墓などとも呼ばれる。

【図を見る】共同墓、合葬墓の料金は?

 東京・神楽坂にある真清浄寺の六角堂ひかりも共同墓だ。昨年12月1日から募集を開始したばかり。収骨数はすでに100体を超える。

 価格は明快で、直接埋葬が3万円、納骨袋に入れての埋葬が5万円、13年間納骨壇に個別安置しその後合葬する形式が10万円だ。管理料はかからない。

 住職の吉田日光(にちこう)さんによると、「永代供養で本当に3万円か」といった問い合わせが多いという。合葬というと墓じまいの「無縁塔」のイメージが強いなか、吉田さんが感じたのは時代に即した新しい「墓」の必要性だ。

「お寺との縁が薄れ、遺骨の扱いにお困りの人が想像以上に多かった。お墓を建てるにしても、数百万円という代金を誰もがポンと出せる時代ではない。良心的な価格で供養をしてさしあげたかった」(吉田さん)

 真清浄寺では毎日、僧侶が六角堂ひかりにお経をあげる。献花台には花が絶えず、法要を依頼されることも多いという。

「お墓の形態にかかわらず、皆さん弔いたいという気持ちがある。お寺との縁をつなぐきっかけになってくれれば」(同)

 国立歴史民俗博物館准教授で葬送の歴史に詳しい山田慎也さんは言う。

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