「技能試験と日本語試験の両方に合格するとなると、準備に最低1年はかかるだろう。受かるかわからない試験に海外の若者が取り組むとは思えない」

 この幹部が危惧するのは、渡航先として日本が選ばれなくなることだ。例えば、留学ビザの交付率が極端に低下したスリランカは、特定技能の対象国にも入っていない。スリランカの日本語学校の関係者は言う。

「もう日本には行けないと、すでにロシア留学や台湾留学に看板がすげ替わっている。日本に行きたかったわけじゃない。稼げればどこでもいいんです」

 新制度と時期を合わせたような留学ビザ交付の厳格化。一度閉めた門を新しく作り直しても、その門を海外の若者たちが目指してくれるとは限らない。(編集部・澤田晃宏)

AERA 2019年3月25日号より抜粋