山下真瑚(16)/14歳で迎えた全日本ジュニアで2位、昨季の世界ジュニア選手権ではロシアの強豪女子に交ざり3位に。今季はスケートカナダで2位 (c)朝日新聞社
山下真瑚(16)/14歳で迎えた全日本ジュニアで2位、昨季の世界ジュニア選手権ではロシアの強豪女子に交ざり3位に。今季はスケートカナダで2位 (c)朝日新聞社
横井ゆは菜(18)/今季全日本ジュニア選手権優勝。全日本選手権にも出場し7位に入る。フィギュアの盛んな名古屋市出身。来季はシニアデビュー (c)朝日新聞社
横井ゆは菜(18)/今季全日本ジュニア選手権優勝。全日本選手権にも出場し7位に入る。フィギュアの盛んな名古屋市出身。来季はシニアデビュー (c)朝日新聞社
本田紗来(11)/今季チャレンジカップのアドバンスドノービス女子で国際大会初優勝。姉の真凜、望結もフィギュアスケーター。子役としても活躍 (c)朝日新聞社
本田紗来(11)/今季チャレンジカップのアドバンスドノービス女子で国際大会初優勝。姉の真凜、望結もフィギュアスケーター。子役としても活躍 (c)朝日新聞社

 今季シニアデビューし、いきなり世界で活躍する紀平梨花。だが、期待の若手は紀平だけではない。選手層の厚い日本女子にはまだまだ逸材がいる。

【写真】キラリと光る若手女子選手たち

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 日本女子はシニアが強豪ぞろい。その豪華メンバーに入るには、シニアデビューと共に国際大会で目立たなければならない。そんな厳しい戦いのなかでキラリと光る若手がいる。

 今季シニアデビューし、GPシリーズ初戦スケートカナダで銀メダルを獲得したのが、16歳の山下真瑚だ。荒川静香のイナバウアーに感動し、スケートを始めたという。浅田真央や宇野昌磨と同じ、山田満知子コーチの門下生として、小さいころから伸び伸びと育てられてきた。

 山下の特長はジャンプの高さ。小学生のころから、女子とは思えない豪快なジャンプを跳ぶ。頭角を現したのは13歳で出場したジュニアGP横浜大会。ジュニアデビューの国際大会で、いきなり3位に入った。

「表彰台に乗れるなんて思いませんでした」

 とあどけない表情で語る山下の横で、山田はこう話した。

「私が教えてきたなかでも、とにかく目立ってジャンプの能力が高い子。海外のコーチからも『すごいねジャンプ』と言われました。でも普段の練習ではもっとジャンプ高いんですよ」

 山下は、チームメートで“お兄さん”的存在の宇野を常にお手本として追い掛けてきた。

「目標は昌磨君。ジャンプもクルクルって跳ぶし、スケーティングもすごい迫力なんです。それに昌磨君はすごく表情をつけて踊るので見習っています。昌磨君はいろいろお話もしてくれて、フリップジャンプの跳びかたとかも教えてくれます」

 今季はスケートカナダで200点を超えての銀メダル。

「表彰台に乗ろうと思って演技するよりは、内容が大切だと思っています。すごい選手にたくさん会って、見て学ぶことを楽しみに試合をしていきたいです」

 来季は4回転の習得も目指す。まだまだ粗削りなところが残るだけに、伸びしろも大きい。雄大なジャンプを武器に、さらなる高みを目指してほしい。

 ジュニアにも強気のジャンパーがいる。トリプルアクセルに挑戦している横井ゆは菜(18)だ。力強い滑りと、キレのある演技で観客を楽しませる。18歳はジュニアでは最年長となるが、全日本ジュニア女王のタイトルを取ることを目標にあえてジュニアに残り、有言実行。世界ジュニア選手権は9位だった。来季のシニアデビューに向け期待が高まっている。

 また11歳ながら早くも芽を出しているのが、本田紗来だ。真凜や望結ら、本田5人きょうだいの末っ子。子役としても活躍しながら、スケートの練習にも励む。姉妹の間でも「紗来が一番、才能がある」と言われ、ジャンプ、演技、スケーティングすべての面でバランスがいい。2月のチャレンジカップでは、アドバンスドノービス部門で国際大会初優勝。実力を証明した。

 日本女子の層が厚いのは素晴らしいお手本が目の前にいるから。新星の誕生を心待ちにしたい。(ライター・野口美恵)

※AERA 2019年3月25日号