紀平梨花(16)/今季シニアデビューしたばかり。GPファイナル、四大陸選手権など今季の国際大会で負けなしの6連勝。トリプルアクセルが武器 (c)朝日新聞社
紀平梨花(16)/今季シニアデビューしたばかり。GPファイナル、四大陸選手権など今季の国際大会で負けなしの6連勝。トリプルアクセルが武器 (c)朝日新聞社

 世界フィギュアスケート選手権が3月20日に開幕する。2022年の北京五輪に向け、目が離せない戦いだ。注目の女子選手6人をライターの野口美恵氏が解説する。

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 女子は、「日本vs.ロシア」の戦いだ。日本からは全日本女王の坂本花織(18)、GPファイナル女王の紀平梨花(16)、2度の世界選手権メダリストの宮原知子(20)が出場。そしてロシアは豊富な人材ゆえ選考に困難を極めたが、平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワ(16)、欧州選手権女王のソフィア・サモデュロワ(16)、そして平昌五輪銀メダルのエフゲニア・メドベージェワ(19)の3人が出場する。この6人の誰もが金メダル候補という激戦だ。

 まず今季最も勢いがあるのは、シニアデビューにしてGPファイナル女王となった紀平だろう。ジュニア時代から成功してきたトリプルアクセルは、今季になって技術的にも精神的にも安定し、確実な武器になった。

 四大陸選手権では、現地入りしてから左手薬指を負傷。ジャンプの空中姿勢で手を強く胸元に引き寄せる動作ができなくなると、アレンジした手の引き寄せ方を試し、フリー本番ではトリプルアクセルを成功させた。

「怪我の翌日からトリプルアクセルを跳んで(アレンジが)うまくいって、指の怪我を乗り越えることができました」

 とっさの対応力を示し、大舞台へ精神的な安定を強めた。

 全日本女王の坂本の勢いも負けていない。昨季は女子2枠の争いを勝ち抜いて平昌五輪を経験。全日本選手権ではパーフェクトの演技で優勝を決めた。しかし四大陸選手権ではフリーで二つミスがあり、4位。

「紀平さんの得点を見て『私はノーミスできるかな』『何点以上とれば勝てる』とか考えて、演技に集中していなかった」

 表彰台落ちの悔しさは、坂本の爆発力に繋がるだろう。

 平昌五輪4位の宮原も底力がある。GPシリーズで2戦連続219点台と高得点をマーク。今季はジャンプを改造中。このジャンプがしっかり決まれば200点超えは堅い。

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