「沖縄本島唯一の民間空港は南部の那覇空港ですが、部隊が配備されるのが北部の辺野古となると、アクセスや連携に問題が生じます。那覇空港は航空・海上自衛隊も使用しており、スペースも十分ではありません」

 昨年12月に辺野古に土砂投入が始まった際、岩屋毅防衛相は辺野古新基地建設について「日米同盟のためではない。日本国民のためです」と発言した。エルドリッヂ氏は言う。

「『日米同盟のためではない』と言うのは、そもそもSACOの前提を無視した発言ですが、百歩譲って『日本国民のため』というのであれば、『なぜ使えない施設を造るのか』と正直聞きたい。莫大な予算を投じて、使えない施設を造るのは国益上おかしな話です。なぜこんなに粘り強く辺野古にこだわるのか。同盟管理の失敗としか言いようがありません」

 米ジョージ・ワシントン大学准教授(日米関係論)のマイク・モチヅキ氏は、県民投票の結果を受けた「琉球新報」(2月27日付)のインタビューでこう提言している。

「県庁の当局者は世論や政治家、ジャーナリストを巻き込み、日米の外交や防衛の専門家と連携し、これまでより積極的、創造的、かつ効果的に動く機会と義務がある。沖縄の状況に共感している人も多い。県は沖縄の声が反映される新たなSACOの開催を主張すべきだ」

 前出の江上氏はモチヅキ氏の主張に同調し、「政府が動かないのであれば、沖縄県が主体となってSACWOの議論のたたき台となるポイントを整理するため、日米と沖縄の有識者らでつくるワーキンググループを先行して立ち上げるべきだ」と提言する。(編集部・渡辺豪)

AERA 2019年3月18日号より抜粋