がんは症状が出たときには進行しているケースも多い。何より定期健診を受けることが大事だ (c)朝日新聞社
がんは症状が出たときには進行しているケースも多い。何より定期健診を受けることが大事だ (c)朝日新聞社

 女性がかかりやすい乳がんは、実は症状が出づらいがんでもある。医師によると、触診でも見つけることは難しいという。一方で発見のカギにつながるのが、家族の罹患歴だ。

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 女性のがん患者全体の約2割を占める乳がん。30代から増え始め、40代後半から50代前半で最も罹患者が多くなる。どのような自覚症状が出るのか。

 乳腺外科「ベルーガクリニック」(東京都板橋区)院長の富永祐司さんは「乳がんは症状が出づらい」と指摘したうえで、

「症状が現れるとすれば圧倒的にしこりですが、必ずしもしこりができるわけではありません。仮にしこりが現れても、弾力性のある、柔らかいものは問題ありません。しこりは胸の外側に発生することが多い」

 17年6月に乳がんで亡くなったフリーアナウンサーの小林麻央さん(享年34)は、しこりをこう表現している。

「何気なく、胸元から手を入れて、左の乳房を触りました。どきっ。いきなり本当にパチンコ玉のようなしこりに触れたのです」(16年9月13日のブログ)

 症状は、しこり以外にもある。富永さんが話す。

「白や透明の分泌液なら問題はありませんが、乳頭から黒っぽい血が出ることがあります」

 ほかにも、胸にえくぼ状のくぼみができたり、乳首が陥没したりするなどの症状が発生することもあるという。

 ただ、症状が出た時にはすでにステージ2以上に進行している可能性が高く、そもそも、症状が出ないケースが多い。ベルーガクリニックでは昨年128人から乳がんが見つかったが、そのうち、症状を訴えていたのは「全体の1割に満たない」という。

「日本では乳がん検診の発展が遅く、触診による検診が続いていた結果、セルフチェックができると誤解している人もいます。13年に国のガイドラインも変わり、触診は推奨されていません。医者でも触診では発見できないからです」(富永さん)

 東京都の会社員の女性(56)は、49歳のとき、人間ドックで乳がんが見つかった。当時をこう振り返る。

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