日米政府はSACO最終報告後に「辺野古」での新基地建設を決定。当初、「ヘリポート」と想定されていた普天間代替施設の規模や機能はどんどん膨らんだ。1998年の県知事選で稲嶺恵一知事は「15年使用期限」や「軍民共用」の受け入れ条件を掲げて当選。しかし、沖縄県が「苦渋の選択」で受け入れた条件を反映した99年の閣議決定は、06年の在日米軍再編に伴う新たな閣議決定で一方的に破棄された。玉城知事は言う。

「そういう経緯をもう一度、再検証するべきだと思います。本当の意味で私が沖縄県知事として県民投票の結果の重さに責任を持つのは、そこ(SACWO)で現実的に議論を進めることだと思っています」

 沖縄からの問題提起は、日本の安保政策を全否定することではない。国土面積の0.6%しかない沖縄に、なぜいまだに70%を超える米軍基地が集中しているのかということだ。「あまりに多すぎる」。これに尽きるのだ。

「47都道府県で米軍基地(在日米軍専用施設)があるのは13都道府県。そのうち、2けた以上の面積比率を占めるのは沖縄だけです。しかも70%。2位の青森は9%ですから、この違いは一体どこから生まれ、どうすれば埋められていくのか、ということについて考えてもらいたいのです」

 玉城知事は普天間飛行場の「県外・国外移設」を求める背景についてこう説明する。

「自分たちのところで引き受けられるのか、国民の皆さんにまず考えてほしいんです。引き受けられないのであれば、なぜ今まで沖縄に押し付けてきたのかということを意識してほしいのです。沖縄県外の人にも問題の本質と県民の思いを共有してもらいたいのです」

 現政権は「SACWO」の設置に否定的だが、それは玉城県政にとっても織り込み済みのことだろう。現実的に見れば安倍政権はメンツにかけて、「辺野古が唯一」の看板を降ろさない可能性は高い。ただ、安倍政権の残る任期は、再延長がなければ2年余。「安倍退陣後」の政局、あるいは政権交代によって国民全体の声が盛り上がれば、「辺野古」政策の転換を促す機運は高まるとみられる。

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問題は今後…