撮影/今村拓馬
撮影/今村拓馬

 大前提として働く人の睡眠課題は個人の努力だけでは解決できない。夜の眠りに大きな影響を与えるのは昼間の過ごし方であり、日中のほとんどを過ごす職場での取り組みが必要だ。そんな中、少しずつではあるが社員の睡眠をサポートする企業も出てきている。

「以前は午後の睡魔と闘うためにツボを押したりつねったり。往復の電車で居眠りすることも多かったんですが、最近は全くそういうことがなくなりました」

 三菱地所総務部の増田広奈さん(30)は笑顔を見せる。増田さんを救ったのは、昨年の本社オフィス移転を機に作られた「仮眠室」だ。利用は週に2、3回。ランチ後の12時半から30分というのが定番だ。

 仮眠室は12時からの3時間、ほぼ毎日予約でいっぱいだが、人事部の根神剛さんによると、当初は稼働率が低かったという。

「典型的な日本企業だと『眠いから仮眠室に行ってきます』とは言いづらい雰囲気があります。ですから社内のカルチャーそのものを変える必要があると考えました」(根神さん)

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