とまあ、このウォッチを使えば、ランニングのパフォーマンスを上げるのに役立つさまざまな数値がわかるのだが、問題は一定時間走ってテストしたり、毎日のランニングでデータを蓄積したりしないと、正確な結果がわからないということ。

 例えば胸に巻き付ける心拍計を買って、乳酸閾値の測定にもトライしてみたのだが、乳酸閾値テストは測定時間20~30分間。こっちはサボり癖のついたインチキランナーだもの。急にそんなに走れないってば!

 とか、逆ギレしている場合じゃない。自分のような初心者も使える機能を見つけて、時計をいじりながら、それっぽく走ってみることにした。そのひとつが、「バーチャルパートナー」と呼ばれる機能だ。

 ランのペースを設定すると、ウォッチの画面に、私と一緒に走ってくれるパートナーのアイコンが登場。私のアイコンが走り出すと、パートナーのアイコンも走り出し、ペースから遅れたり、速く走ったりしてしまうと、画面のなかの自分とパートナーのアイコンが離れていってしまう仕組み。

 最初、自分のアイコンとパートナーのアイコンを間違えて、自分が先行していると勘違い。「楽勝」とか言いながらゆるゆる走っていたが、画面の2人の距離は開くばかり。気がついたら時すでに遅し。「いだてん」の金栗四三のマネをして、「すっすっはっは」とスピードアップを試みたものの、まったく追いつけやしない。待って。

 こんなときも、いくつもの測位システムで現在地をウォッチがしっかり把握しているほか、心拍数を測って体の状態もすっかり知られている。時計を腕からはずして振ったりなど、インチキしても無駄だった。ちぇ。

 こうしてガーミンの上位機種の機能の無駄遣いをしたあとは、私物であるウォッチ型活動量計のエクササイズ機能も使ってみることに。せっかくなのでアップルウォッチも起動して、合計3本を同時に腕につけて走ってみた。

 ちなみにiPhoneのBluetoothは、八つのデバイスと同時接続が可能。あと五つのウォッチをつけて走ってもいいというメッセージと受け取った。まあ、冬場だからよかったものの、これで半袖だったら、ダブルウォッチのサッカーの本田圭佑選手より、ワンランク上の変な人。

 恥ずかしくてランニング中はウォッチ画面のチェックができなかったが、ウォッチ型活動量計はシンプルに心拍数や走った距離などを教えてくれる一方で、スポーツウォッチの上位機種を使った直後では、マニアックさに欠けて物足りなさも。おサボりランナーの分際で図々しいですか、そうですか。

 目標をスポーツウォッチを使いこなせるレベルのランニングにして、そろそろランニングを再開しようと目論んでいる。もちろん、まずはランニングウォッチの購入から。ウキウキ。(ライター・福光恵)

AERA 2019年3月4日号より抜粋