──J.Y.Parkさんは、プロデューサーとして20年以上にわたり、優秀な人材を世に送り出しています。成功する子を見極める「先見の明」があると言われていますが、J.Y.Parkさんが考える「才能のある子」とは?

 私だってこれまでたくさんの失敗をしてきましたよ(笑)。私が見るのはただ一つ、その子の歌、その子のダンスに個性があるかどうかです。例えば、歌もダンスもものすごく上手な子がいるとします。

 テクニックは申し分ない。でも、そこに個性が見えなければ、私は選びません。テクニックは私が教えることができますから。世の中には基礎がなっていなくても、なぜか聴いたり見たりしていると、じわ~っとくるものがある歌、ダンスというものがあるんです。私が才能を見極める基準はそこにあります。

──なるほど。

 私は「人間は美しいもの」だと信じています。だって一人ひとり外見も違えば、内面も全く違うんですから。内面というのは形のないものです。それを目に見えるものにしてくれるのが“芸術”なんです。その人が描いた絵、綴った文章、歌、ダンス。芸術を見れば、どんな内面の持ち主なのかがわかります。

 才能というのは、生まれた時に天から与えられるもの。私はそれを十分に使い切らないのは、才能に対する無責任だと思っています。才能を十分に引き出せるように導くこと、それがプロデューサーの役目だと思います。

──最後に。今後の展望を教えてください。

 ただコンテンツを作るだけではなくて、各国のパートナーたちとコミュニケーションをとりながらそれぞれの国のマーケットにアプローチしていく。そんなふうに仕事をしていければ幸せだと思います。そのためにも「Nizi Project」を必ず成功させたいですね。(構成/ライター・酒井美絵子)

AERA 2019年3月4日号