アテネ不眠尺度(AERA 2019年3月4日号より)
アテネ不眠尺度(AERA 2019年3月4日号より)
AERA 2019年3月4日号より
AERA 2019年3月4日号より

 週末の寝だめがクセになっているあなた。でも、それこそが翌週のだるさや 生産性低下の原因になっている可能性もある。

【睡眠不足を解消するテクニックをご紹介!】

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 その「事件」を思い出すと今も冷や汗が出る。

 東京都に住むコンサルティング会社勤務の女性(46)は、顧客企業の担当者に同社のデリケートな問題にも触れた書類を添付して送った。ところがほどなくして届いた返信メールには別の会社の人の名前でこう書かれていた。

「こちら宛先が間違っているようです」

 なんとメールを誤送信していたのだ。女性は昨秋から扱う案件が急増し、5時間ほどしか眠れない日々が続いていた。

「7時間近く寝ていた以前なら絶対なかったミスです。取引先には平謝りで、会社にも報告しなくてはならず、本当に自分が情けなかった」(女性)

 最近では睡魔に負けまいとするあまり、気づくとブツブツ独り言をつぶやいている。

「話しかけ難い雰囲気を醸しているのではと心配です」(同)

 国を挙げて取り組む「働き方改革」が目指すのは生産性向上。だがAERAが実施したアンケートには、この女性のように睡眠不足で生産性が向上どころか低下しているという声が多数寄せられた。中学校教員の男性(35)はこう嘆く。

「妻から時折、いびきがうるさ過ぎると夜中にたたき起こされます。朝もすっきり起きられたためしがありません」

 帰宅するのは夜10時ごろ。共働きで家事も分担しており、睡眠時間は5時間を切る。最近も教材を作る際の誤字脱字や時間割変更の連絡忘れなどミスを連発し、生徒から「先生、大丈夫?」と心配されてしまった。

 睡眠改善サービスを展開する帝人が、国際基準の不眠判定法「アテネ不眠尺度」を使って2016年に勤労者1860人を対象に行った調査によると、「医師に相談すべきレベル」の不眠問題を抱える人は全体の2割、「不眠の疑いあり」という人は3割。合計すると5割もの人が何かしらの問題を抱えていた。

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