iPhoneはどうなる?(AERA 2019年3月4日号より)
iPhoneはどうなる?(AERA 2019年3月4日号より)
昨年10月30日、ニューヨークでのiPadの新製品発表会で、デモ会場に姿を現したクック(右)。長い時間をかけ、機能をアピールした (c)朝日新聞社
昨年10月30日、ニューヨークでのiPadの新製品発表会で、デモ会場に姿を現したクック(右)。長い時間をかけ、機能をアピールした (c)朝日新聞社

 米アップルに急ブレーキがかかっている。創業者の故スティーブ・ジョブズが2007年に発表して以来、斬新なデザインと高い機能性で、快進撃を続けてきたiPhoneの販売が振るわないのだ。ジョブズの「遺産」の威光にかげりが出始めているのか。後を継いだ現最高経営責任者(CEO)のティム・クックは、新たな風を吹き込むことができるのか。

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 今年1月2日、米国や世界の株式市場を襲ったのは、「アップル・ショック」だった。

 アップルが、昨年10~12月期の売上高予想を、前年同期比5%減の840億ドル(約9兆円)になる見込みだと下方修正したのだ。決算発表の1カ月近く前だったが、クックが投資家に送った書簡で公表した。そこには「不確実性の高まりは金融市場だけでなく、消費者にも影響が及んできた」とも記されていた。

 年間販売の4割近くをたたき出すともいわれる歳末商戦で、売り上げが伸びないのは明らかに「黄信号」だ。米株式相場の急落は、各国の市場も下落させ、波乱の年明けとなった。

 アップルは昨年夏、米企業で初めて時価総額1兆ドル(約110兆円)を突破。強さをみせつけていたその半年後に訪れた落差は、大きかった。

 1月末、クックはその10~12月期について発表する四半期決算の電話会見に臨んだ。同期の決算は、iPhone販売高が前年と比べて15%も減少するショッキングな内容だった。 

「ドル高のせいで、値段が上がった」
「(各国で通信会社から端末メーカーに支払われる)端末補助の金額が減っている」

 クックはiPhoneの不振についてこう説明し、アナリストの理解を得ようと必死だった。そして珍しく、日本の状況にまで言及した。

「日本では、17年10~12月期に売れたiPhoneの4分の3に端末補助があったが、これが昨年同期には半分以下になった」

 たしかに「ドル高」や「端末補助の減少」は販売不振の要因の一部ではある。だが、実際に大きく響いたのは、中華圏(中国、香港、台湾)での売り上げ減少だったことは明らかだった。

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