国語の読解問題が苦手な子どもは少なくありません。とくに「物語文」の読解問題では主人公の気持ちを問われることが多いため、「人の気持ちなんてわからない」と投げ出している子もいるはず。そこで、『AERA with Kids冬号』(朝日新聞出版刊)では、読解問題が苦手な子どもたちに集まってもらって、実際に「読解力講座」を実施。物語文を読むコツを体験してもらいました。

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 物語文の読解問題で問われる、「登場人物の気持ちは?」という問いは、「心情読解」ともいいます。「心情がわからないのは、物語文のなかにはっきりと書かれていないからです。そこが作者の考えが明確に書かれている説明文との最大の違いです」こう話すのは、これまで多くの中学受験生の国語の読解力を成長させてきた実績をもつ、中学受験カウンセラーの金子香代子先生。書かれていないから「推測」しなくてはいけない登場人物の気持ち。でもどうやって読み解けばいいのでしょう? 金子先生は3つのステップで子どもたちに説明しています。

【STEP1】 「気持ち」って何かを考える
 集まった子どもたちに向かって「みなさん、先生の気持ちをつかんでください」と金子先生。キョトンとする子どもたちに「気持ちって、手でつかめるものではないよね」と確認します。「気持ち」は具体的な「物」ではないからこそわかりにくい。しかし自分が知っている「気持ち」を言葉にすることで、「気持ちという実体のないものの輪郭を少しずつクリアにする」作業がとても大事だと先生は言います。そこで、子どもたちは「気持ちを表す言葉」を思いつくままにフセン紙1枚に一つ書いて、次々とホワイドボードに貼っていきました。「うれしい」「悲しい」「楽しい」はすぐに出てきたけど、そこから動きがストップ。「今朝はどんな気持ちだった?」と先生。すると「すがすがしい」「緊張する」など、10個以上の言葉が出てきました。

【STEP2】 気持ちの裏にあるものを考える
 次の質問です。「ここで私が急に泣き出しちゃったら、みんなどう思う?」と金子先生。子どもたちは少し考えてから「びっくりする」「おかしいなと思う」「どうしたらいいか困る」と答えました。「そうだよね。なぜ?って思うよね。」「何か理由=出来事があるから泣き出した」ことに気づくのがここのねらいです。つまり「人は出来事があるから気持ちがある」ということ。「気持ちは出来事とくっついている」これがキーワードです。そこでSTEP1で出た「緊張する」という気持ちを取り上げて「◯◯だから緊張する」という「出来事=理由」をフセン紙に書いていきます。「大勢の前でしゃべるとき」「ピアノの発表会で」「お父さんに怒られたとき」など、子どもが実体験から考えた理由がたくさん出てきました。

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AERA編集部
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