AERA 2019年2月18日売り表紙に俳優・安田顕さんが登場
AERA 2019年2月18日売り表紙に俳優・安田顕さんが登場

 映画「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」で最愛の母を亡くした男性を演じた、安田顕さんがAERAに登場。TEAM NACSでの活動や、メンバーへの想いを聞いた。

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 人情厚い下町の町工場のエンジニアから、パンツを被ると豹変する数学教師まで──。甘いルックスの二枚目だが、演じる役は幅広い。荒唐無稽な設定でも芝居の端正さゆえなのか、いつもそこはかとないペーソスが漂っており、安田が画面に現れるとどこか安定感が出る。

 ドラマ、映画、舞台など出演作は100作近く。演じた役は数多いが、安田の役者人生を象徴するような作品が映画「俳優 亀岡拓次」。ホームレスからヤクザの子分、時代劇の泥棒役までこなし、現場に奇跡を起こす神がかった脇役として重宝されるが、本番以外の実人生ではなるべく気配を消して生きているような人物だ。

 とはいえ、いまや最もチケットが取りにくいと言われる北海道が生んだ人気演劇ユニット、TEAM NACSのメンバーでもある。TEAM NACSは戻ってくるホームという感じなのでしょうか、という問いに、少し考えてこう答えた。

「もう、それを超えちゃっている感じもあって。僕は彼らの悪口を言えるんですよ。でも他人が彼らの悪口を言ったら否定すると思います。うまい表現ができないくらいに密接なんです」

 4月からスタートする北海道・十勝が舞台のNHK連続テレビ小説「なつぞら」にはTEAM NACSの音尾琢真、戸次重幸とともに出演、帯広の菓子店の店主を演じる。

 最新作の「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」では、倍賞美津子、石橋蓮司ら演技派のベテランと共演した。

「数少ない主演作、せっかくの主演作なのに、『僕を観て』という気持ちが湧きおこらない。倍賞さんを、石橋さんを、みなさんを観てください、根底に流れるものを観てくださいと、心から思える作品です」

(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年2月25日号