「気持ち悪い自分を愛してあげたくて、インターネットを徘徊しては模索する日々です。産んでくれてありがとうと両親に言える日が来ることを祈り、今日も生きています」(女性)

 別の当事者の部屋は、テレビやエアコンなど必要最低限の家具しかないがらんとした空間だ。「学校に行けなくなって、断続的にこもって10年過ぎました」という。ベッドの上にはアライグマのぬいぐるみがちょこんと置かれ、わずかに部屋の空気を和ませている。

「写真を見ているうちに、当事者がひきこもった事情まで、じわじわとこちらに迫ってくる感覚がある」(渡辺さん)

 空き缶などのごみに埋もれた写真もある。部屋の主は「夜中にコンビニへ出かけては、缶チューハイを買って飲んでいます。部屋にごみがあることで、こんな自分を罰している気がして安心できます」というメッセージを寄せた。

 反対にきちんと整頓され、ほとんど私物のない部屋も見られた。だが渡辺さんは「片付いた部屋が、過度な潔癖症や、物欲すら失った無気力状態を暗示しているのかもしれない」と話し、当事者の精神状態はむしろ深刻な場合もあると指摘する。(ジャーナリスト・有馬知子)

AERA 2019年2月18日号より抜粋