(1)と(2)は行政や研究機関が無花粉スギなどに取り組んでいるが、個人ではなすすべがない。我々にできるのは、飛散状況の情報をしっかり集めた上で、(3)と(4)に努めることだけだ。

 できるだけ花粉に触れないようにするにはどうするか。ユニ・チャームは「超立体マスク」「超快適マスク」の全商品がJAPOC認証を獲得している。メガネでは名古屋眼鏡だけがJAPOC会員企業だが、会員以外の企業にもJ!NSの「花粉CUTシリーズ」のように、花粉対策製品は多い。

 家電では、エアコンや空気清浄機などで高いシェアを持つダイキンが最も多くのJAPOC認証を得ている一方、オシャレなプロダクトデザインで人気のダイソンも昨年、JAPOCに加入している。

 花粉症の根治には、スギ花粉を体内に取り込むことで体を慣らす舌下免疫療法が有効だが、治療には2~3年かかり、効果が出ない人もいる。その場合は薬が頼り。飲み薬に加え、18年4月に久光製薬が発売した「アレサガテープ」は1日1回、上腕、胸、背中、腹部のどこかに貼るだけという手軽さで注目されている。医療用医薬品で、医師の処方が必要だ。

 ただ、薬にあまり頼りたくないという人も多い。また、花粉症は食生活や生活習慣などにも左右されるため、体調そのものを整える食品やサプリメントへの関心も高まっている。

 現在、JAPOC認証を得ている食品やサプリメントはないが、注目されているのは「乳酸菌」だ。近年の研究で腸が全身の免疫に深く関わっていることがわかり、腸内環境を整えることが免疫力向上につながるという理解が広がってきた。人気商品は大塚製薬の「ボディメンテ ドリンク」やアサヒ飲料の「守る働く乳酸菌」などの飲料タイプ。「日々の食生活で体調を整える」傾向が強まりつつある。

 数カ月にもわたる、不快な季節。日々進化する製品から自分に合ったものを見つけ、戦略的な対策をとれるかどうかが、勝敗の分かれ目となりそうだ。(ライター・浅野裕見子)

AERA 2019年2月18日号