鼻鏡を使って鼻の腫れの程度や鼻水の種類を確認し、花粉症かどうかを診断する新中野耳鼻咽喉科クリニックの陣内賢院長=東京都中野区(撮影/写真部・小山幸佑)
鼻鏡を使って鼻の腫れの程度や鼻水の種類を確認し、花粉症かどうかを診断する新中野耳鼻咽喉科クリニックの陣内賢院長=東京都中野区(撮影/写真部・小山幸佑)

 これまで、花粉症の治療や症状の緩和のために様々な方法が登場してきたが、これからは個人個人の体質に合わせた「オーダーメイド治療」が注目されるかもしれない。実践する医師に話を聞いた。

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 東洋医学を活用し、オーダーメイドの花粉症治療を実践する医師もいる。耳鼻咽喉科・漢方内科の新中野耳鼻咽喉科クリニック(東京都中野区)は、舌下免疫療法などのアレルゲン免疫療法を採用していない。

「理由は漢方薬でも根本的な治療ができると考えているからです。それぞれの体質を整える漢方の治療法はオーダーメイドといえるかもしれません」

 こう話すのは同院の陣内賢院長(53)だ。

 陣内医師は、舌下免疫療法の保険適用が始まる以前、スギ花粉の抽出液を注射する免疫療法を取り入れていた。しかし、2年以上にわたって定期的に治療を続け、根治したかに見えた患者も全員が完治というわけにはいかなかった。

「治療をやめるタイミングがなくなり、ずっと通院してもらうのが申し訳ない」と考え、根治を希望する患者には漢方療法を中心に施すことに決めたという。

 根治につながる漢方処方は人によって異なるが、あえて一つ挙げれば、体の毒素を排出する「十味敗毒湯」(花粉症は保険適用外)が代表的とのこと。食生活に乱れがある人に効果的という。

 というのも、花粉症は「何を食べるか」が作用する面が大きいとみるからだ。外食が多い人やお菓子が好きな人は自律神経が乱れ、花粉症の症状が出やすい傾向があるという。意外なのは「生もの」、特に生野菜の摂取が要注意という指摘だ。陣内医師は言う。

「生ものは体を冷やすので、寒さの厳しい時期は特に摂取を控えたほうがいいでしょう。生野菜については、良質なものでないと体に影響を与える可能性があり、体調が乱れやすくなる原因になります」

 冷えが強くなると、免疫的にマイナスに働くため花粉症などのアレルギー症状の悪化につながるという。「長時間のパソコン、スマホの使用」も要注意だ。眼精疲労や神経を使うことで鼻や口の粘膜が渇きやすくなる。渇いた粘膜は傷つきやすく、異物の侵入が容易になる可能性がある。しかも粘膜の過敏性が増すため、アレルギーにつながりやすくなるという。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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