また川の土手には野草も生えている。春先に鼻水やくしゃみの症状が出ても、実際にはスギ花粉だけではなくヒノキや野草の花粉、ハウスダストなどが複合的に作用しているケースも多いという。6月ごろまで症状の出る人は、イネ科の花粉症が作用している疑いも浮かぶ。

 大久保教授は鼻の粘膜を調べる検査、血液検査、皮膚反応検査などを実施。鼻づまりが強い人の場合は、副鼻腔炎やポリープの可能性がないか、エックス線やCT検査などの検査も行う。血液検査で花粉症と診断された場合、花粉症の時期だけ症状がやわらげばいいのか、根治させたいのか、患者の要望に応えて治療法を決定するという。

「花粉症は特に個人個人で異なるQOL(生活の質)を維持できるかが大事な病気。そのために大切なのは、それぞれの患者さんの満足度を高める治療です」

(編集部・渡辺豪)

AERA 2019年2月18日号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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