神経の細胞にできるがん「神経芽腫」を5歳で発症した高校2年生の浦尻一乃(うらしりいちの)さん(17)は今、都内にある私立高校に通う。今年1月下旬、修学旅行で沖縄を訪れた。当初は学校から、「現地でのバス移動はタクシーなどを使って、別行動で」と告げられた。緊急時の対応ができないとの理由からだった。浦尻さんは、何としても友達と一緒に旅をしたいとツイッターで情報の提供を呼びかけ、台数が少ないトイレ付きの車両が手配できるバス会社を自力で見つけ出した。力を貸してくれた学校教諭からは、「苦労した分、旅行は楽しんできなさい」と声をかけられた。

「今まで悔しい思いはたくさんしてきたからこそ、諦めないつもりです。『こうして乗り越えたよ』と、困っている仲間とか、周りの人に知らせたいから」

(ノンフィクションライター・古川雅子)

AERA 2019年2月11日号