そんな鈴木が「映画刀剣乱舞」に出演している。原案は人気ゲーム「刀剣乱舞─ONLINE─」だ。メディアミックスでアニメやミュージカルなどが作られ、そのどれもが大人気を博している。鈴木は舞台「刀剣乱舞」にも出演してきたが、映画には舞台版のキャストが多く登場する。今作では、本能寺の変で織田信長を生存させるという歴史改変を狙う時間遡行軍と、それを阻止しようとする「刀剣男士」たちの戦いが描かれる。刀剣男士とは、名だたる刀剣が人の姿となった戦士たちのこと。鈴木が演じたのは、彼らの司令塔的な役割を果たす太刀、三日月宗近だ。

「まず、とてもよくできた歴史ミステリーという点を強く推したいです。ヒーローものとしても見ていただけるような、初見でも楽しめる映画になっていると思いますので、2.5次元に馴染みがない方でも、ぜひ一歩踏み出してみてほしいですね」

 また、刀剣男士には刀剣として歴史的現場に立ち会った記憶があるので、それによって信長の死の謎が解明される展開も。

「刀剣目線というのは、今作ならではの設定の面白さだと思います」

 2年以上、幾度も舞台で演じてきたキャラクターだが、当初は映像用にしゃべり方や芝居を変えなくてはいけないのかと悩んだという。だが、耶雲哉治監督は舞台版を最大限に生かした。

「今まで培ってきたものをベースに、たとえば客席を見据えるようにカメラを見てはいけないとか(笑)、そういう映像技術を足していきました。映画ならではのアクションも、見ごたえあるものになったと思います」

 さらに、ファンタジー色あふれる刀剣たちが実際のリアルな風景の中に立ったときにどう映るか不安だったというが、美術の力もあり、違和感なく馴染んでいたことに安堵したとか。

「もともと『刀剣乱舞』はオンラインゲームだったので、プレーヤーの数だけ物語がある。それを舞台やミュージカルやアニメという形にすることは勇気が必要だったと思いますが、逆にいろいろな形態の中から好みのものが選べる余地があるんです。また一つ、映画という選択肢が増えました」

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