細野豪志氏 (c)朝日新聞社
細野豪志氏 (c)朝日新聞社
細野豪志氏の歩み(AERA 2019年2月11日号より)
細野豪志氏の歩み(AERA 2019年2月11日号より)
二階氏は派手な「空中戦」を嫌い、したたかに時間をかけて相手を調略するタイプ。野党にも太い人脈を持っている (c)朝日新聞社
二階氏は派手な「空中戦」を嫌い、したたかに時間をかけて相手を調略するタイプ。野党にも太い人脈を持っている (c)朝日新聞社

 野党第1党で要職を歴任した細野豪志元環境相が自民党二階派に入る。孤立と権力志向という弱さを二階俊博幹事長につけ込まれたという。

【細野氏のこれまでの歩みと、「弱み」につけ込んだ?二階氏はこちら】

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 これでは「節操がない」と有権者ばかりか、国会議員から責められても仕方がない。自民党二階派(志帥会)の「特別会員」となった無所属・細野豪志元環境相(47)のことだ。1月31日に開かれた二階派の定例会出席後に記者の取材に応じた細野氏は、平身低頭。神妙な面持ちで、派閥を率いる二階俊博幹事長への忠誠を語った。

「二階先生といろんな話をする中で、私が考えていることを実現できるのではないかと考えるようになった」

 この会見の様子をテレビで眺めていたある野党幹部は一言、こうつぶやいた。

「軍門に降ったな」

 旧民主党政権では原発担当相や環境相、党幹事長を歴任。旧民進党では代表代行も務めた。しかし、憲法改正に関する見解の相違を理由に離党すると、その後は、小池百合子・東京都知事らと旧希望の党を結党し、政権奪取を試みるが失敗。その上、野田佳彦前首相ら旧民主党の「三権の長」経験者を念頭に、希望の党の公認申請は「ご遠慮頂くのがいい」と発言した自身の責任を取り、以後、無所属での活動を強いられていた。旧民主党時代に立ち上げた派閥「自誓会」で行動を共にした国会議員は、細野氏の心中をこう察する。

「自らも主導した政変で2017年に野党第1党(民進党)を解体させた戦犯であり、完全に野党内では孤立していました。自業自得としか言いようがありませんが、この時点で早々と野党に未練はなかったのではないでしょうか。経済政策はともかく安全保障の分野では、野党の中枢にいたころから極めて自民党に近い感覚を持っていました
から」

 発言や立場をたびたび変える姿勢は有名。細野氏を古くから知る後援会の関係者は、民主党政権下で遭遇した11年の東日本大震災以降、細野氏の権力志向は強まったと語る。

「首相補佐官という立場で原発事故に遭遇し、政権を握らなければ政治は動かせない現実を思い知ったのだと思います。下野してもマインドは与党のままでした」

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細野氏の「弱み」につけ込んだ?