「そんなに違和感ないかって自分でも納得したのは、街の本屋さんの佇まいと立ちそばって同じだなあって。それぞれ店のあり方を工夫して、本(そば)に関わる感じ、数が減りつつある存在とか。本とそばって親和性があるんです」

 本書は立ちそば好きにとってのガイドとしても好適だが、消えゆく大衆文化を刻印した民俗学者のフィールドワークとも読める。連載は続く。平松さんの旅を追いかけていきたい。(ライター・田沢竜次)

■書店員さんオススメの一冊

FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』は、物事の見極めるための心構えを、習慣化する方法を解いた一冊だ。八重洲ブックセンター川原敏治さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

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 人は物事を判断する際に、自らの思い込みによる物の見方をしてしまうことが原因で、事実を見誤ることが多い。

 本書は、その事実を見誤らせる「本能的な物の捉え方」を10項目に分類し、情報やデータの精査以前の物事を見極めるための心構えや準備を習慣化する方法を解説する。豊富な事例からは、人の思い込みの怖さ、事実を見極める難しさを思い知らされる。また、データの分析方法などの専門的なテクニックの話だけではなく、事実を見極めるための確認作業があることで、情報過多による「思い込み」が多くなりがちな日常生活のさまざまな場面でも実践しやすい。

 事実に基づく世界の見方ができるようになれば「世界を良くし続けるためにわたしたちに何ができるかも、そこから見えてくる」と著者は述べている。ぜひ、そのようになりたいものだと思う。

AERA 2019年2月4日号