沖縄県在住の現役学会員の男性(50代)は、県知事選で初めて公明党の支援をやめた。男性は両親が学会員の「2世」で、信仰を続けてきた。公明党の県議や市会議員とも交流が深く、安保法制でも、ぎりぎりのラインで公明党が「しばり」になったと納得してきた。だが、県知事選では手のひらを返すような党の姿勢に失望し、玉城氏に投票したという。

「沖縄県の公明党本部は辺野古移設反対という立場です。知事選前に県本部に『ぶれないか』と確認したら『信じてくれ』と言われた。それが選挙では、佐喜真さんは辺野古のへの字も言わない。県知事選で辺野古問題に言及しないなどあり得ない。争点隠しをした時点で、公明党に強い不信感を抱きました」

 こうした反発は公称827万世帯の学会員のうち、ごく一部かもしれない。ただ、2世、3世のような長く信仰を続けてきた会員の離反が広がれば、集票力に影響が出ることも否めない。『創価学会の研究』の著書もある首都大学東京の玉野和志教授(社会学)はこう語る。

「学会員の多くは、機械的に公明党に投票しているわけではない。教学の場では、講師に対して『話が分かりにくい』など厳しい評価が飛び交います。公明党候補者へも同様で、支持すべき候補かどうかは各会員が判断するわけです。学会員が政策に納得していない状態で選挙に入れば、(知人に投票を呼びかける)F票の獲得数にも影響が出て、それが比例票の浮き沈みにつながる。かつてのような選挙による功徳という側面は薄れ、普通の政党と支持者の関係に近づいていると思います」

(編集部・作田裕史)

AERA 2019年2月4日号より抜粋