広告モデルで賄っているのがマスコミである。テレビが典型的な例だ。皆が思っている芸能界、あるいは私が売れるまで思っていた芸能界もそこである。そこでの売り物は「好感度」。しかし果たして芸能界は一つだけだろうか。直(じか)にお客さん(依頼主)にサービスを提供しお金をいただく原初的な芸能のビジネスモデルも同じ芸能界だろう。

 芸能界には地主(権利者)がいて、そこにテラ銭を払うことで商いさせてもらっている構造もある。そこに帰属しないで自分で行商をやるやり方だってあるし、現在もそれをしている人たちはいる。それを「干された人」というらしいが、一方的というものだろう。

 私はそういう世界を「第二芸能界」と呼ぶことにした。そして従来の芸能界を「第一芸能界」と言う。人気を量的に売るのに適しているのが「第一芸能界」で、人気を質的な部分で売るのが「第二芸能界」だと考えたい。この二つの間にネットという第三極を介在させて回転させるのが健全な形だと思っている。

 平成の次の時代は「第二芸能界」、もしくはそれ的なオルタナティブが重要な時代になる。私が実験台となってそれを実証していくつもりだ。

AERA 2019年1月28日号

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マキタスポーツ

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マキタスポーツ/1970年、山梨県生まれ。俳優、著述家、ミュージシャンなど多彩な顔を持つ。子供4人。スポーツ用品店だった実家の屋号を芸名に。著書に『すべてのJ-POPはパクリである。』ほか。映画「苦役列車」でブルーリボン賞新人賞受賞。近刊に『越境芸人』(東京ニュース通信社)。『決定版 一億総ツッコミ時代』(講談社文庫)発売中。

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