大きく様変わりする共通テストを、どう攻略すればいいのか。

「一言で言えば、『小手先のテクニック』が封じられている」

 そう話すのは、長く高校教材の制作に携わってきた学研プラス高校教育コンテンツ事業部の田中宏樹さん。英語のリスニングでは、従来のように単に音を聞き取っただけでは正解できない問題が多い。聞き取った英文の意図まで読み取る必要がある。リーディングでは、提示された記事を読んで、論旨にそった発表資料をつくるという設定の問題もあった。

「全体を広く読んで論旨をつかむ力、つまり『大づかみ力』が問われています。また、『パーティーに行きたいけど、仕事があって……』、ということはつまりパーティーに行けないんだろう、と推測するなど、正解までにワンクッションある。複数の情報から答えを導き出したり、読みとった情報の意味合いを考えさせたりするようないい問題が多く、単純な知識の積み上げでは太刀打ちできないでしょう」

 前出の武井さんはこうアドバイスする。

「まずは教科書などで概念を理解する。その後で、一問一答の用語集を見て、その用語を自分の言葉で説明してみる、といった対策は有効だと思います」

 いくら問題が新しくなるからといっても、対策に奇策はないという意見もある。

「楽しようとするからダメ。当たり前のことを当たり前に、時間をかけて学習すれば大丈夫」

 と言うのは駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長だ。

「まず、字を読むこと。そして字を書くことです。新聞などを読んで、自分の考えを自分の言葉で表してみる。親は、子どもがなにか疑問を持ったときに、面倒がらないこと、すぐ答えを与えないことも大事。効率が悪いと思うかもしれませんが、結論よりも途中経過を大事にする学びが生きてくるでしょう」

 前出の下松さんもこう言う。

「やっておくべきこととしては、まずは教科の知識をこれまで以上にしっかり定着させることです。この点はこれまでと変わりません。ベースがなければ、それを活用するということはできませんから」 

(編集部・高橋有紀)

AERA 2019年1月28日号