広瀬:是枝さんはどう抗っているんですか。

是枝:自分が成長するのは大事だけど、キャストとスタッフをどうシフトチェンジしながら新しい血を入れて、どういう組み合わせがいいのか。究極的には2度同じことはないんだけど、それを良い方向へ壊して作っていく。どういうふうにスクラップ&ビルドをするかを、意識的にやっていると思う。

広瀬:自己模倣にならないように、ということですか。

是枝:それもそうだし、現場自体の進み具合も。でも、こどもがいると壊してくれるところがあるから、僕はそれを求めているところがあるよね。

広瀬:一緒にやってよくわかりましたが、真似できないです。

是枝:それならこどもみたいな人を出すんだよ(笑)。

広瀬:そうですね。今回は私が新鮮な気持ちだったから、役者さんも同じくらい新鮮な姿勢で取り組んでくれたと思います。

是枝:次回からが勝負。今度は自分で方向性や目標が見えてくるから、今回経験した中で良いところを伸ばして悪いところをどう改善していくか、また、現場をどう動かしていくか。そこをどういうふうにクリアしていくか。だから次はすぐに撮ったほうがいいよ。熱いうちにね。

(構成/フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2019年1月21日号より抜粋