どこから見ても普通のチョコレートブラウニーだが、大麻食品だ。食用だと深い多幸感が得られるという。添えられているのは大麻草の葉(写真:Gettyimages)
どこから見ても普通のチョコレートブラウニーだが、大麻食品だ。食用だと深い多幸感が得られるという。添えられているのは大麻草の葉(写真:Gettyimages)
北米大陸での大麻の法的位置づけ(AERA 2019年1月14日号)
北米大陸での大麻の法的位置づけ(AERA 2019年1月14日号)

 大麻の合法化が議論される中、娯楽目的の使用が合法化されたカナダや北米の州などではチョコレートやクッキー、飲料や化粧品などの関連商品市場が広がりつつある。海外渡航時の予期せぬトラブルを回避するために、私たちが注意するべきこととは?

【図解】合法使用を認めた州は?北米大陸での大麻の法的位置づけはこうなっている

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 合法化で関連商品が生まれ、「大麻観光」などの新産業にもつながるという期待もある。ニューヨーク・タイムズ紙などによると、コロラド州だけで大麻関連の市場規模はすでに10億ドル。全米では、関連市場が生み出す雇用が20年までに25万件に達すると推測されている。それだけに、雇用重視のトランプ米大統領も、カナダでの「大麻効果」の実情を注視しながら、米国での完全合法化の可能性を慎重に見定めているとされる。

 大麻の危険性と、合法化による経済的、社会的効果をてんびんにかける議論は、これまでも世界中にあったが、一部の医療使用を除けば、国家レベルでは、むしろ危険性を重視する考え方が尊重されてきた。麻繊維や七味唐辛子の材料などとして栽培するための正式な許可を受けた「大麻取扱者」を除けば、大麻の所持などを厳しく禁じている日本もその一つだ。カナダが娯楽用大麻を合法化したことを受け、日本外務省は早速、日本人向けの注意喚起を出した。

「日本の大麻取締法では、大麻の所持・譲渡(購入含む)等については違法とされ、処罰の対象になっています。この規定は海外において行われた場合でも適用されることがあり、在留邦人や日本人旅行客は、これら日本の法律を遵守のうえ、日本国外であっても大麻に手を出さないよう注意願います」

 カナダで大麻を所持したら日本で逮捕されるということなのか。大麻取締法に詳しい弁護士で甲南大学法科大学院の園田寿教授(66)によると、日本人がカナダで大麻を購入、所持しても、カナダ国内で完結していれば、「帰国後に大麻取締法の適用はないと考えるべきだ」と話す。その根拠をこう説明した。

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