18年6月26日夕、皇太子さまはお住まいのある東京・赤坂御用地で、リオデジャネイロパラリンピックの視覚障害者女子マラソン銀メダリスト、道下美里さん(41、三井住友海上)の伴走をした。

 17年秋の園遊会で、道下さんが「機会があれば一緒に走りたいです」と伝えたことがきっかけで実現したものだ。皇太子さまは伴走用ロープを右手でにぎり、左手にロープをつかむ道下さんに声をかけながら約1.5キロの道を走った。伴走者としての声のかけ方、道下さんの走りの特徴などを動画サイトで調べて本番に臨んだといい、直接触れ合うことで理解を深めたいという思いの表れだった。

 雅子さまも東京都内の学習院目白キャンパスで開かれる盲導犬の啓発ブースに毎年のように足を運び、視覚障害者と交流している。東京都世田谷区の児童養護施設「福音寮」を私的に訪れるなど、未来を担う子どもたちにも関心を寄せている。

 天皇陛下は象徴として即位した初の天皇で、憲法に定められた国事行為だけでなく、全国各地をめぐるなど公的行為を積み上げてきた。皇太子さまは天皇陛下の活動を継承しつつ、「時代に即した新しい公務」を模索している。会見などではライフワークである水問題を柱の一つに挙げ、貧困や水をめぐる社会問題の解消、平和の実現に寄与したい考えを示している。

 一方で、雅子さまの体調には依然として波があり、治療を担当する東宮職医師団も無理のない活動を勧めている。宮内庁は皇太子さま単独での活動、ご夫妻一緒での活動と、公務の整理をしている。

●旧知の友人を訪ねるように、被災地へ身軽にお見舞い

 新天皇となる皇太子さまを支えるのが、弟の秋篠宮さま(53)だ。

 秋篠宮さまは代替わり後、皇位継承順位第1位の「皇嗣(こうし)」となる。皇太子さまの公務を引き継ぐことになるが、筆頭宮家として担ってきた活動や団体の役職が数多く、これまで通り続けるものと、新しいものとを抱えさらに多忙になりそうだ。

 公的な活動を通じて国民の期待にこたえ、天皇陛下をお助けする──。皇族の役割について、秋篠宮さまは会見などでそんな認識を語ってきた。

 特筆されるのが、東日本大震災でのお見舞い活動だ。地方訪問などで培った人脈を生かし、困っている場所を自分たちで探し求め、足を運んだ。11年5月には、東京から新幹線や車を乗り継いで約6時間かけて岩手県大槌町へ。旧知の友人を訪ねるように現地をまわった。長女眞子さま(27)、次女佳子さま(24)もボランティア活動に参加した。

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