──シングル「恋」のカップリング曲で、アルバムにも収録された「Continues」は、これもまた愛を感じさせる曲です。

 ずっと影響を受けてきた細野晴臣さんの音楽を、自分なりの音楽でオマージュしたいという思いで「Continues」を作ったんですけど、そのなかにある続いていく、つないでいくというメッセージには根底に愛がありますよね。今作に収録されている「Dead Leaf」という曲では山下達郎さんにコーラスを入れてもらっていて、そうやって大先輩と仕事をするのもそうだし、若い面白い人たちと初めて一緒にやる機会があったのもそうだし、「Continues」に書いていたことがアルバムで現実になっていった気がすごくします。

──今回のアルバムを聴いていて、広がりを非常に感じるなと思ったのは、愛が“生きる”ことと同様の意味でとらえられているところです。例えば「アイデア」もそうだし。

 うんうん。

──個人的な感想では、「Nothing」はそういった大きなものとして愛を綴った、星野さんのひとつの到達点のような曲じゃないかと思いました。

 うれしいです。「Nothing」はすごく気に入ってるんですけど、最初はTR?808というリズムマシンでビートが鳴っているような、メロウなバラードを作りたかったんです。それで歌詞を書いていった時に、自分のなかに昔からある寂しさみたいなもの──自分には何もないという感覚が、昔からずっと、生活に支障をきたすほどではなく、本当にちっちゃくあって、それをちゃんと歌にすることができたんじゃないかなって。

──<君を誇る事で/私は生きているって/呆れた本当さ/なにもないな>と歌う歌詞はとても感動的です。

 愛があって、生活があって、そこに寂しさがある。その感じをうまく表現できた気がして、曲ができた時は本当に気持ちがよかったですね。

──19年に向けて、抱負も聞かせてください。

 2月から始まる5大ドームツアーをがんばるっていうのはもちろんあるんですけど、人間的な抱負としてはいろんなものをシンプルにしていきたいなって。仕事も生活もどんどん飽和していくところがあって、それに疲れを感じ始めてるんですね。だからいろいろと整理できたらいいなと思っています。

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